🔷 膀胱がんと告知され、入院、手術と不安な日々が続き、そして退院直後までの心情をまとめてみました。
1.病気になってから、それぞれの時期にどんな気持ちだったか
A) 手術前には
- 父母を介護中というのにがん宣告。手術直前に父が介護施設に。
- 別の部位は考えていたが、自分が膀胱癌になることは想像していなかった。
- 告知されて初めて、自分の命と向き合うことになった。人生最大の危機(いつまで生きられるか。あれもこれも大丈夫か。)
- 示されたステージは本当なのか、もっと悪いのではないか等と疑った。 がんになった自己原因は何だったのか自問した。
- すべてが不安で神経がピリピリに。 動揺や戸惑いなどは家族を始め一切見せないようにしていた。
- 尿路変更術には大別3方法あり、その選択で術後の生活(男の平均寿命約80歳)が。人生ありきの治療だと思った。
- 体験者の紹介を医師にお願いしたが、紹介できる組織無し、プライバシーで無理と断られる。
- 担当医師から各尿路変更術の特徴を聞く。(幸い研修医が度々枕元に)…そして自分で選択し決定。
- 知り合いの医師からの助言。(抗ガン剤、合併症・腸閉そく、運動、術後の生活…)
- チーム医療で執刀医は教えられないという不安、異議を申し出た。
B) 入院中には
- 抗がん剤治療時の胃のむかつきと脱毛にはほとほと参った。通勤・通学姿に励まされる。
- マーキング時に「健康そうな体」。と言われ、何かホッと。
- パッチテストの結果を見て「面板負けはないので心配しないで」、と看護師の一言。
- 術後の回診で、「出血が少なく自己採血を体内に戻しておきましたよ」、に何故かホッ。
- 腸閉塞の症状が出た時、痛み止めに関する看護師の対応の違い。緩和ケアとは。
- 患者と医療者は対等であってほしい。(採血出来ずに交代も・・)
- 回診時に今の状態(微熱、腰痛、点滴、…)を聞けたことは何よりの力に。
- 友人知人からの時々の医療生活情報はありがたかった。
- 入浴奨励と装具交換の実地指導には感謝。
- 母がグループホームに。まずは一安心。
- 退院時のストーマ外来の周知と予約奨励に感謝。
C)退院後には
退院してからいろいろなトラブルに遭遇しましたが、研修会や講演会に参加する中で気持ちが前向きになって行くのを感じました。
- 当時、荘内病院にストーマ外来がないことを知る。
- 転移・再発への不安。
- 新たな生活の始まりは孤立無援。おなじ仲間が交流できる所が欲しい。
- 頼りはストーマ外来。「ヨボ[i]いいよ」に、その都度一安心。
- 約1年は妻から装具交換、お互いにストレスが。自立を迫られた。
- 公衆浴場に入れたのは約1年半後。
- 多くのトラブルが。❶術後~(皮膚のはがれ、出血、血豆、あせも・かゆみ、粘液、ウロバッグに尿が流れない・臭い、腰ベルト、ウロバッグの接続チューブ等の外れ、自宅トイレの尿処理…) ❷術後1年位~(バルブの閉め忘れ、障害者トイレ、皮膚との擦れ、レッグバッグの接続チューブ等の外れ、浴場、剥離剤切れ、装具切れ、照明…) キリはない、経験の積み重ね。
- 腎盂腎炎を2回。水分補給を甘く見てはいけない。
- 主治医の転院とストーマ外来の転院。
- 交流による多様な情報交換は参考に。装具や下着の工夫、仕事や家庭での工夫、社会生活での実用法…(皮膚呼吸、生活スタイルに合う装具の選定・使い分け、入浴スタイル、おしめより良い、皮膚障害、合併症、運賃、家族…)
- 研修会や講演会に参加すると、気持ちが前向きに。
[i] ヨボ⇒顔つき。容貌。(山形県庄内地方の方言)
退院後はいろいろなトラブルで落ち込みましたが、研修会や講演会で気持ちが前向きになりました。
🔷 自分の受けた治療、ケアを振り返り、オストミービジターとして自分らしく生きることを決心しました(最終回)
2. いま自分の受けた治療やケアについてどのように感じているか
- 命(病気)との引き換えで命(障がい者に)がある。
- 尿路変更術は納得して選択したのでケアには前向きに対応できている。
- 友人知人からの医療関連情報には感謝。
- 痛み止めの件や執刀医の件は、患者目線からは課題が。
- 入院中の症状や変化要因などの説明、入浴奨励、装具交換指導に感謝。
- ストーマ外来の「何かあったらまず電話を」。電話指導には感謝。
- 医療関係者の一言に一喜一憂。良かった。
- 家族会などでの“会話と交流・情報”は、ケアの基本に。
- 家族を始め医師、看護師、販売店、メーカー、行政、そして、多くの仲間の助けを遠慮なく借りてきた。多くの人に支えられていることを知った。
3. 自分がOV、PSとして活動しようと思ったのはなぜか
- 多くの人の助けで今がある。残りの人生、仕事や家庭以外でも生きがいを持って生活したい。
- 自分の手術前の心境。大体のことは心配してもしょうがなかった。自分と同じように悩んでいる人もいるのではないか。
- 障害を無くする事は無理でも、同じ仲間と話したり、学んだりすることによって心が落ち着く。前向きになれる。
- 病気や障害はあっても、病人生活はしたくない、してほしくない。
- 術後は新たな生活の始まり。自分らしい生活をしたい。
- 大病は人生を見直す良い機会だった。自分らしい生き方をしたい。
4. 現在気になっていること
- 今、命と向き合っている人との対面・対話。“医療関係者とは違う立場”にたっているか。
- いつも自分の言葉・心に自問する。
- 1人平均〇分で、どれだけ自分を表現できるか。気持ちを共有できるか。
- 自己中になってはいないか。
- 自分で維持管理できなくなったとき。
- 日常生活用具の公費負担。・・・
💛告知をどうするかと悩んでいた時代から、術後の日常生活を考えて治療法を選択する時代に
💛過去を振り返って自分を知り、自分を大切にしていけたら、と思います
仲間の皆さんは いかがでしょうか!?
完 最後までお読みいただきありがとうございました
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