■参加者はオストメイトとその家族が7名、県立新庄病院医師・看護師3名、装具メーカー・販売店3名、新庄市身体障害者福祉協会から1名で総勢14名です。障害者に関わる事業者の方々が横の連絡を取りながらオストメイト支援を行っている様子がうかがえる、和やかな雰囲気の研修会となりました。
■体験談を披露したKさんは2年半前潰瘍性大腸炎を患い、入院治療中緊急手術により事前告知をされないままオストメイトになったと話されました。
手術を受ける3ヶ月ほど前から激しい下痢症状が続き、休職して入院治療にあたりましたが、自分で動き回ることもできなくなり、とても情けない思いをしたそうです。手術後約1ヶ月後一般病棟に戻るまでの1ヶ月間は全く記憶が無く、その後人工肛門のことを知らされ、命が助かったことに感謝しながらも、これから普通の生活ができるのか不安でいっぱいだったとのことでした。
それでも何とか退院することができましたが、自宅に戻った後は就寝中の漏れや、復職後就労中にパウチから音が漏れるなど、気が滅入ることや恥ずかしいことがたくさんあったとのことでした。また障害福祉サービスを受ける手続きを家族から代行してもらったのですが、とても面倒で大変な苦労をさせて家族に迷惑をかけて申し訳なかったとのお話もありました。
さらに「これまでお世話になった医療従事者、装具メーカー・販売店の皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。オストミー協会の方からも仲間として励ましていただき、とても助かりました。今後は、協会が私の居場所の一つとなりオストメイト同士つながりを増やし、励ましあっていきたいと思っています」と、お話しされました。またコロナが明けたら旅行に行くなど外出の機会をもっと増やしたい、と明るく爽やかな表情で語られました。
■冒頭「41歳で若々しさを大切にしています」との自己紹介がありました。言葉どおり若くてカッコイイ先生です。始めに先生は「人工肛門」のことを「ストーマ」と呼称している、とのことでした。「人工肛門」とは言っても肛門の機能は完全には有していないので自身は「ストーマ」と呼んでいるとのことでした。時代劇のお城の「門」は門番がいて開けたり閉めたりすることができますが、人工肛門は開けっぱなしで垂れ流し状態、なるほど考えてみれば「人工排出口」ですよね。その「排出口」の穴の数についても手術方法で1つだったり2つだったりすることや、合併症・皮膚炎についての症状などについてスライド写真を使っての説明がありました。その他ストーマを造設する際は5つの原則(しわ・くぼみ、衣服の位置、職業などからくる適性)を守って(考慮して)慎重に位置決めを行っていると、「“腹筋が割れていない”と先生自身が断ったうえでの自身のお腹の写真」を使っての説明もありました。
また伊東先生は県立新庄病院の広報誌にオストメイトについての啓もう記事を掲載されたり、日本海総合病院勤務時は直接担当の先生ではなかったのですが、研修会では休日にもかかわらず参加され、後方から控えめに見守っていただいたりしておりました。講演は慣れていないと自身でおっしゃっていましたが、誤解を生まないようにと配慮された言葉使いが伝わってきます。伊東先生からは常に我々オストメイトに対する思いやりが感じられ、とても頼りになる先生だと思います。皆さんもぜひ定期的に先生のオストメイト外来を受診してみてはいかがでしょうか。
■最初に自己紹介がありましたがその中で印象的だったことを箇条書きにしてみました。●装具販売店の方から「パウチが剥がれないようガムテープで止めていたオストメイトがいた。自分の障害を周りから知られたくない様子で、かわいそう。寄り添っていきたい。●介護職の人がパウチの交換方法が分からなかったので皮膚・排泄ケア認定看護師に電話して指導してもらった。●3年目でわからないことが多く仲間が欲しくて参加した。●病気の再発が心配、長生きしたい。●福祉団体の方から「障害者の声をもっと聴き、福祉施策向上の提言に取り入れていきたい、等の発言がありました。
その後参加者から●「術後4ヶ月経つが、頻繁に漏れて困っている。入浴中に漏れたら大変なので本当は毎日風呂に入りたいがシャワーで我慢している。漏れない方法をぜひ教えて欲しい」との悩み相談がありました。他の参加者から自分なりの漏れない工夫を述べてもらったところ●「パウチを貼り付ける際は洗浄後十分に乾かす」●「粘着力を高めるため皮膚保護剤をスプレーする」●「面板の貼り付け部分に窪みや皴が有ったらペーストなどで平らにしてからパウチを貼っている」等の発言がありましたがストーマの状態は人夫々違うのでやはりその状態にあった対処法が必要、ストーマ外来で指導していただくのが最上の対応とのアドバイスとなりました。