10月8日(日)南陽市えくぼプラザにて、オストメイト6名、講師(医師)1名、メーカー・取扱店4名の計11名の参加がありました。
予定されていた方の体調が悪く残念ながら欠席となってしまったため、急遽お願いして引き受けていただきました。ありがとうございます。(Nさんからは一昨年も話していただきました)
オストメイトになったきっかけから、オストメイトになってのトラブルについて話していただきました。「オストメイトになった最初の頃は、なかなか落ち着かず、近くの認定看護師さんに相談していましたが、一昨年の研修で知ったストーマ外来に行ってからは落ち着いて生活できるようになりました。トラブルとしては、外出先でもれていることに気づいてそのまま外出先から帰ってきたことや、寝ているときに気づいたらもれていたということも。それで、今は気になって数時間ごとに目が覚めることもあります。自分としては、これからもできるだけ色々な活動を積極的にやっていきたい。これからも皆さんも色々大変と思いますが、これからもっと会員が増えて情報を共有できればと思っています。」
阿部支部長より
私たちの仲間にアンケートを取ると、オストメイトであることを「誰に知られてもいい」という人は10人のうち約3人しかいない。昔から下の話はあまり表立ってするものではないということがあって、ストーマのトラブル(痛み、漏れ、かゆみなど)は人に言いづらく、皮膚科のお世話にならなければということがある。
できれば、私たちの活動そのものが“オストメイトだけど日常生活は心配ないですよ”という気持ちになる手助けとなればと思って活動している。
ストーマの種類、ストーマ増設後の合併症、腸閉塞(イレウス)のこと、術後腸閉塞の予防、ストーマ増設後の抗がん剤治療や普段の生活について、写真やイラストを交えて、わかりやすく説明していただきました。
【ストーマの種類について】
どんな理由(病気)によってストーマが造られるのかということから、コロストミー・イレストミー・ウロストミー、その違いによっての排泄物の状態が違うこと、単孔式・双孔式の違い、について話していただきました。
【ストーマ造設後の合併症について】
・壊死(血の巡りが悪くなって黒くなっている)・浮腫(むくみ)→急性期に起こるのがほとんど
・出血 →手術中の止血が不十分、腫瘍の再発、装具による損傷など
・周囲の皮膚障害→装具の変更、粘着剤の変更が必要になることなどについて
写真やイラストを交えて説明していただきました。
【腸閉塞(イレウス)について】
・症状→腹痛、吐気、嘔吐、腹部の張り、便秘、下痢、脱水、人工肛門の方は排泄物が出なくなる
・術後腸閉塞の説明
・腸閉塞に対する一般的な治療
入院して絶食・点滴をする、鼻から管を入れる(イレウスチューブ)
こちらで治らない場合、手術が必要になる場合もある。
腸閉塞のタイプによっては緊急手術になることもある。
前は腸閉塞になるとすべて手術だったのが、イレウスチューブができてからそうではなくなった。
最近では手術の時にシート状の癒着防止剤を入れるようにしている。
・術後腸閉塞の予防
完全に予防できるものではない
消化が悪いもの(繊維質の多いもの:こんにゃく、きのこ類、海藻類)を食べるときは要注意よく噛むこと
整腸剤や緩下剤・止痢剤などで排泄物の性状のコントロール(硬すぎても緩すぎても大変)
【オストメイトになってからの生活】
・装具の選択、交換方法
・家族の方の協力
・継続的な経過観察
・抗がん剤治療の副作用
・普段の生活(衣類・下着・入浴など)
≪抗がん剤治療中のいろいろなトラブル≫
通院中の施設の化学療法センターで相談してみてください。
専門の薬剤師・認定看護師などが対応いたします。
≪ストーマを持ちながらうまく生活していくためには≫
ストーマについてすぐ相談できる人、施設を持っていた方がいいでしょう。
ストーマに詳しい看護師さんがいいかもしれないです。
また、水谷先生から、置賜総合病院の栄養サポートチームと緩和ケアチームのメンバーとしても活動されていることを紹介していただきました。
大変わかりやすい講演、ありがとうございました。
グループ分けしなかったので、先生に直接質問などができ、大変有意義な時間となりました。
(以下先生の回答より)
・抗がん剤治療の副作用として味覚障害はずっと続くことがある。
・腸の出血にもかかわるので、激辛の食品は避けた方がよい。
・腸閉塞について
腸閉塞は何度か繰り返すことがある。
イレウスチューブを入れずに点滴で治る人もいる。
腸閉塞は日常的な病気となっていて、腸閉塞の患者さんが入院していない時期がない位。
(庄内の方より)孟宗のシーズン(5月頃)に腸閉塞が多くなるといった話も。
・肛門を残せるかどうかについて
肛門から1センチ、2センチでも残せる人はいる。
病原を取ったうえで肛門を残せるかどうかが違う。病気を治すのが第一。
なんとか肛門を残すように手術はしているが、でも結局無理でストーマになる人も。
・大腸がんが再発することもあるので、定期的な大腸カメラ等の検査をするのが望ましい。
ストーマからカメラができないというクリニックもある。
ストーマから入れる場合もカメラ前の準備は同じ。
ストーマがぱんぱんになるので気を付けないと。(オストメイトの体験談)
・イレオストミーの方が多くなっている?
潰瘍性大腸炎やクローン病については、レミケードなど薬が良くなって外科に来る患者さんが少なくなった。(オストメイト同士の話から)
・ストーマの袋(パウチ)が魚の小骨で穴が開いた
(販売店の方より)パウチは、3層、4層にはなっている。珍しいことで聞いたことがない。
(オストメイト)おなかの中で悪さをしなくてよかった、という話になりました。
・災害時のことについて
水害の時は、オストメイトでない方はトイレが大変そうだったが、ストーマがあるので助かった。
災害ネットワークの話に。
・自分で維持管理できなくなったとき
訪問看護などを利用するといいのか、よくわからない。
病院の認定看護師さんを中心に介護職員を対象とした研修会を年時的にやっている、とのこと。
アンケートから
①講演について、全員一致で「良かった」となっており、「専門的な話が聞けて良かった」とのことでした。
(とてもわかりやすい話でしたので、本来ならよりたくさんの方に聞いていただきたかったです。)
②今後の研修でやってほしいこと
・今日のような専門家の講演
・認定看護師さんの話が聞きたい
③その他
・少人数で中身の濃い研修会でした
・自動車に乗れる間は入会し勉強しています
・参加者が少ないのは3連休の中日という日程の関係だと思います。調整をお願いします。
(昨年は10月3連休初日に同じ場所で開催、18名参加でした。今回は山形新聞の広告欄の掲載がなかったこと、天気が良かったこと、3連休中日だったこと、色々な要因があったのかもしれません。今後の検討課題になると思います。)
・少人数でわいわい話せました。楽しく時間が過ぎました。
(直接先生に質問出来てありがたく、とても意義のある研修会になったと思っています)
報告:山村