• 日本オストミー協会山形県支部は山形県内2,200名のオストメイトの社会復帰、QOL(生活の質)及び福祉向上のため、仲間同士の交流会や相談会、医療従事者を招いての研修会や入浴体験会など様々な活動を行っています。

日本海総合病院でオストメイト研修会を開催しました

2022.11.13(日)日本海総合病院でオストメイ研修会が開催されました。病院内での開催は3年ぶりです。

2022年11月13日日本海総合病院二階講堂を会場に、オストメイトとその家族 22名、日本海総合病院スタッフ 5名、メーカー販売店 5社6名、その他4名の総数 37名の参加を得て開催されました。新型コロナの影響で日本海総合病院内での開催は出来なくなっておりましたが、今回3年ぶりの病院内開催で多くの参加者があり、再会を喜ぶ人等大変賑やかな研修会となりました。

■ 2月に人工膀胱を造設されたAさんから体験談を披露していただきました

頻尿・残尿があり婦人科を受診、日本海病院泌尿科を紹介され病気がわかり手術を受けましたそうです。手術後、パウチの扱いに慣れないせいか漏れてしまうという失敗経験があり、お漏らしというのはこんな感じなのかなと思ったそうですが、看護師さんから”大丈夫ですよ”と声をかけて頂き安心した気持ちになったとのことでした。自宅での失敗談として、「就床するときに蓄尿バックの元栓を閉め忘れて眠ってしまい、朝バックが空になっていてガッカリ。でも、幸い、蓄尿バックの下に新聞紙を敷いていた為、大事には至りませんでした。私は現在、障害者福祉協会に入会し、麻雀教室に通って楽しんでいるほか、自分で車を運転して友人と温泉旅行に行くなど色々楽しんでいます。来年5月頃に、また旅行したいなと考えています。」とのことでした。オストメイトになってもご自分の体調に合わせて現在の生活を楽しんでいることに感心させられました。


■日本海総合病院救命救急センター長(外科医師)陳正浩先生による「ストーマに関わる最新医療情報について」の講演会が行われました。

ストーマ合併症やストーマ周囲の皮膚炎等を説明後、色々な症状についての対応の仕方を紹介。ストーマ周囲に生じる肉芽への対応として、結束して除去することが主に行われており、焼き切る手法については現在行われていないそうです。ストーマ周囲に対しては、皮膚の状態に応じて、ステロイド入り軟膏やローション等を塗布。ストーマヘルニアには人工肛門を造り直すということも行っているということでした。またストーマ造設の手術は、筋肉の外側・内側に粘膜が2層になっており、その粘膜に縫いつけて腸が出てこないようにしている。ストーマヘルニアに対するそれぞれの対応等を、スライドを使用し説明、最後に離島(飛島)での診療状況の紹介がありました。 2018年より飛島診療所と酒田市病院機構を光ファイバーで結び、TV診察を行っている。 ストーマ部を写し、酒田で診察し指示を出す、という形で行っており、ライト(照明)の当て方にも工夫し、皮膚の状態 ・ ストーマの状態等の色もリアルに撮影出来るようになり、診療に大変役立っているとのことでした。    


■装具メーカーと販売店からの最新情報及び、製品と試供品の展示会

日曜にもかかわらず参加された装具メーカー3社と販売店2店によるブースが設けられ、多くの製品が展示されました。サンプルもたくさん持参いただき参加者の皆さんに配布されていました。また会場の設営や運営にご協力いただきました。厚くお礼申し上げます。


■人工肛門のグループ2つと、人工膀胱グループ1つの3つグループに分散し、情報交換と交流会を行いました。

◎-コロストミーグループ①-
私のグループはコロストミーとイレオストミー6名、医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、装具メーカー、装具販売店、一般の方夫々1名、薬局経営のご夫婦全13名で交流会を行いました。始めに悩み事や相談事などと合わせ各人の自己紹介、そしてその後、交流を行いましたがその中で印象に残ったことを述べてみたいと思います。
① 「今年2月に人工肛門になった。面板の周辺が痒くて困っている」(研修会に初めて参加されたイレオストミーの方)
② 「人工肛門になって5年になるが最近交換日を忘れていることがあって困っている。また、腰痛になってしまって自分で交換が難しい時があり、訪問看護に頼んだが自分は出来ないと断られた」との悩み相談に対して、「パウチ交換の対応可能な事業所があるので探してみては」とのアドバイスがありました。 ③ 「コロストミーになって2年、肉芽と出血で少しだけ悩んでいる。また、現在C社製のパウチを使っているが、位置合わせに苦労しており、もっと透明性を高くしてもらえないだろうか」との相談に、「他社製品の試用またはストーマ外来で相談しては」とのアドバイスでした。
④ 「17年前にオストメイトになったが、そのかかりつけ医としているクリニックが来年で廃業することになった。これまで大きなトラブルとかはなかったので、今後のストーマケアのかかりつけ医をどうするかちょっと迷っている」とのことでしたが「加齢と共にストーマの状態に変化があり得るのでやはり定期的に診てもらえるストーマ外来を決めておいた方が良いのでは」とのアドバイスでした。
⑤ Aさんから「夜中にパウチがパンパンになるので夜中の3時か4時頃目覚まし時計をかけてなんとか起きて排出しているが、起きるのが辛い。再度寝ようとするがその後の眠りが浅く、日中はいつも寝不足気味で困っている」とのこと。仲間のアドバイスとして「夕方6時頃にご飯を食べれば夜中にパウチがパンパンになることはない」とありました。Aさんは「晩酌をするとご飯の時間が8時半頃になる。せっかくのアドバイスだが、日中の眠気を我慢することはできるが夕食を早めることや晩酌を止めることはとても受け入れ難い」とのことでした。最後に薬局を経営する店主の方から、オストメイトを支援する立場でオストメイト用トイレの設置に関わる質問がありました。大変ありがたいことです。これまで装具販売店の方の参加はありましたが、薬局の方の参加は初めてです。これからもご支援よろしくお願いします。

◎-コロストミーグループ②-
現在の悩みは夜寝ると朝までガスでパウチがパンパンになるそうで、他の方も同じ悩みの方がおりました。ガス抜きフィルターからガスがうまく抜けないので下部を開放してガス抜きしていると語っていました。
最後に、日本海病院のストーマ外来の所にあるトイレの棚の幅が狭くて利用しにくいので、もっと広くしてほしいとの要望が出され、看護師が病院の施設係に伝えるとのことでした。

◎-ウロストミーグループ-
人工膀胱保持者のテーブルには患者6名、病棟看護師さん2名、メーカーさん1名、販売店さん1名、広報を見て勉強しに来た方1名の計11名が参加しました。広報を見て参加された方は元看護師さんで、現在は訪問入浴などのお仕事をされている方でした。内容は主に装具の使い方、特に夜間のウロバッグの扱い方や洗浄方法について多くの意見が出されました。寝ている間に接続部が外れてしまったという相談には、チューブを脚の間に挟むと寝返りの時に引っ張られないので試してみるようにアドバイスがありました。
また、夜間用ウロバッグの交換頻度は月一枚、毎日洗って使用する方が多く、病棟の看護師さん達もとても参考になるとおっしゃっていました。また、販売店さんから洗浄剤の紹介があり、とてもありがたかったと思います。他にレッグバッグを使用した事が無い方もレッグバッグの使い方や利点について、興味深くお話しを聞いていました。
今回は皮膚トラブルや体調不良の相談事は無く、皆様お元気そうでなにより良かったと思います。次回も皆様元気に参加して下さる事を願っています。ウロストミー グループでは、排便に難がある方から、薬やサプリメント等の話があり。同席していた看護師さんより、水分を摂取する・運動をする・食事を工夫する等行い、改善なければ医師に相談した方がいいかもしれません。とのアドバイスを頂きました。

研修会後参加された皆さまから多くの感想が寄せられました

  • 皆さんのお話が、大変参考になる。
  • 体験談を聞くことが出来参考になった。
  • 勉強になりました。生きた話がたくさん聞けました。
  • どなたも同じ問題点だと感じました。
  • 時間があれば、少しゆっくり説明してほしかった。
  • (今後の研修内容の希望として)ストーマの状況(形・便の状態等)による適切なストーマ製品の選択方法。
  • 旅行の時、何か注意した方が良い事や大切な事など取り上げてもらいたい。
  • 今回の内容で良かったです。
  • 自己紹介の時、あっちこっちから話が聞こえてきて、聞き取れなかった。
  • 大変勉強になりました。
  • 話し足りない。熱気に励まされました。
  • とても勉強になりました。有り難うございました。
  • 大変勉強になりました。知らないことばかり、レベルアップしたいと思います。
  • 次回も、日本海病院で御願いします。
  • 「沢山の人がいるものだ」といつも思う。
  • やっぱり参加して良かった。
  • オストメイトになって色々なご縁に巡り会いました。日々前向きに過ごして行きます。
  • 医療・看護師さんが熱心で、うれしく思います。

■ご協力いただいた日本海総合病院のスタッフと装具メーカー・販売店、他の皆さまです