• 日本オストミー協会山形県支部は山形県内2,200名のオストメイトの社会復帰、QOL(生活の質)及び福祉向上のため、仲間同士の交流会や相談会、医療従事者を招いての研修会や入浴体験会など様々な活動を行っています。

24年7月28日 庄内地区オストメイト研修会を開催

2024年7月28日(日)、日本海総合病院2階講堂を会場に、「庄内オストメイト家族会 オストメイトとそのご家族の研修会」が開催されました。参加者の内訳は、オストメイトとその家族26名、日本海総合病院スタッフ7名、メーカー・販売店6名の総数39名です。25日夜から線状降水帯が発生し庄内北部と最上地域では浸水や道路の寸断などの被害により、実際に避難した方もおられ、研修会についても直前まで開催が危ぶまれましたが、何とか開催にこぎつけることが出来ました。参加者からは仲間と話し合うことができて良かったという声が多く、中身の濃い研修会となりました。

WOCNの岩﨑氏から「ちょうどオストメイトの災害対策についてまとめたものがあるので是非皆さんにお話しさせてもらいたい」との申し出があり、急遽時間を設けました。被災した場合「避難所では施設管理者にオストメイトであることを告げ、トイレへの配慮や援護してもらいたい旨を早めに申し出ておくこと」が重要だと、看護師(援護する側)としての視点からのお話がありました。援護される側から援護する側に、きちんと自分の情報を伝えておくことはとても大切なことですね。そして公助を受けるまで2週間ほどかかる場合があるので、その期間の交換用装具は自分で災害対策用持ち出し袋に準備しておくことも必要、とのお話もありました。また可能であれば親戚の家にも分散して預けておくなど分散保管についてのアドバイスもありました。災害発生直後ということで皆さん真剣に聞いていました。《報告者:阿達》

 フレイルについてはなんとなくわかっていたつもりでしたが、具体的に、「ちょっとした怪我や病気などで介護が必要な状態に陥りやすいギリギリの状態」と説明が有り、目から鱗が落ちる思いでした。我々オストメイトは持病を抱えている人が多く、常に病気と紙一重です。我々にとって「フレイル=介護が必要な状態」といっても過言ではありません。今まで少し甘く見ていた感があります。講演の中で、自分自身がフレイルに陥っていないか「指輪っかテスト」や「片脚立ちテスト」、「5回立ち座り」などを、説明を受けながら参加者が一緒になって実践テストを行われました。最後に「①1日3食たべる。②4000歩以上歩く。③週に一回は誰かと話す。この3項目を忘れないでください」、とまとめられました。栗田講師の軽快なトークで、あっという間のとても楽しい30分でした。《報告者:阿達》

☆若い世代のグループ
「20/40フォーカスグループ(59歳までのオストメイトを対象とした組織)に該当する方々で、当日急遽作ったグループです。参加者は一般の方5名、病院関係者1名、メーカー・販売店1名、会員1名です。
・イレオストミーの女性から「仕事中など臭いが気になる。パウチの排出口を清潔にしたい」、と相談。販売店さんから、新製品のウェットティシュータイプの拭き取りシートを紹介していただきました。
・ウロストミーの助成から「排出口にあたる部分が傷になる。何か工夫はないだろうか」との問いに、同じ経験をした方から古い靴下をカットしてカバーを作ったとの答え。
・パウチが不安定で仕事中は邪魔に感じる。消臭腹巻やパウチを収納するポケット付きの下着などを紹介していただきました。
・オストメイト同士が知り合う機会はなかなか無いので、参加してお話が出来て良かったと喜んでいた。
参加者8名中当事者4名、全員若い女性でにぎやかな会でした。子どもを育てながら仕事をしている、又はしていた3名は、子どものために辛い治療や闘病生活を乗り越えたられた、と家族が支えになってくれた事に感謝していました。皆仕事を持っているので、職場には障がいの事を説明し、理解を得て働きやすい環境を自ら作っている様子で、若い人の賢さ、逞しさを感じました。高校生の女の子が将来のために勉強しに来てくれたのも嬉しいことでした。《報告者:宮崎》  

☆ウロストミーグループ
参加者は一般の方3名、病院関係者2名、メーカー・販売店1名、会員2名です。
・ウロストミーのグループ5人のうち2人の方はストーマになってまだ数ヶ月で何とか不慣れな事も有り、パウチの交換に苦戦していて、「交換の時のアドバイスを」、との声に「交換する数時間前から水分を取らないようにしています」とか「朝起きて交換しています」とアドバイスがありました。参考になればよいですね。
・理学療法士の先生の「フレイル予防 介護状態にならない為に」のお話しもとても興味がありました。
・会が終了してもメーカーさん等にお話をされている様子が見られたり、皆さんの笑顔がとても印象的でした。
・次回も皆さんと元気で又お会いできることを願っております。《報告者:菅原》  

☆コロストミーグループ(2グループに分かれました)
参加者は一般の方7名、病院関係者2名、メーカー・販売店3名、会員9名です。
・入浴後に水が入りやすい(V字カットなどで工夫)。
・剥がれが心配(保護テープを使用)。
・あまり長湯をしない。
・臭い対策としてトイレの使用前に消臭剤を使う。
・皮膚のかゆみ‥装具を替えたらOK。
・旅行前にオストメイトトイレを確認。
・ストーマ周りがびらん状になり出血もある。(粉上の薬と保護シートで肌を守る)
・匂いが気になるし、ガスが漏れ音も気になる。(ストーマに被せるキャップもあるので利用することで軽減できる。また、ストーマの中に消臭剤を入れることで匂いも抑えられる。)
・ストーマを貼り付けた皮膚の部分が痒くなる。(一般の痒み止めではストーマが剝がれやすくなるので水状や粉状の専用の薬を使う。ストーマ自体にも痒みを抑える薬効がある。)
・外での作業が多いのと束縛の時間が長いので、その時は前もって食事や内容にも気を遣う。
・衣類にも話題が及び締め付けるものは患部を痛めるためほとんどの人は緩めのズボンを愛用している。男性陣においては吊りバンド愛用者も多いみたいでした。(締め付けが気になる人には専用の腹部バンド紹介されました。)
・今回の研修会に参加された多くの人はそれぞれ不安や悩みなど抱え、他では言えないことや 分からいことを聞きたくて参加しているので、内容にも本気で話していることが十分伝わりました。看護師さんからのアドバイスやメーカー・販売店さんの説明で装具の利用に幅が出てきました。このような機会はあまりないのでこれからも続けてほしいものです。